〜遺言を作成しましょう〜
1.遺言の方式
自筆証書遺言
自ら全文、日付,氏名を自筆で書いて印鑑を押し封をすれば完成する。
メリット | いつでも書ける |
費用かかからない | |
誰にも内容を知られない | |
デメリット | 死亡後、裁判所で検認手続きをしなければならない |
紛失のおそれがある | |
内容が不備で無効になることがある |
公正証書遺言
公証役場で、証人2名の立会のもと、公証人が遺言者に口頭で内容を確認しながら作成する。
メリット | 法律の専門家である公証人が作成するので、法律的な不備がなく、形式や内容の不備で無効になるおそれがない |
原本は、公証役場で半永久的に保管されるので、紛失や変造・破棄等のおそれもない | |
デメリット | 費用がかかる |
証人が2名必要 |
秘密証書遺言
遺言者の生存中はその中味を誰からも知られることのないよう秘密にし、その存在を明確にしておくための遺言方式。 内容を記載した遺言書(代筆・ワープロ可とされる)に本人の署名と押印をして封書し、公証人と証人2名へ提出する。
※ただし、ほとんど利用されていない。
裁判所での検認も必要となり、内容を公証人が確認していないため、遺言自体が無効になる場合もあるため。
平成30年7月6日改正民法成立により、自筆証書遺言の形式、保管方法が緩和しました。
①自筆証書遺言の方式緩和(2019年1月13日施行)
今まではすべて全文を自筆で手書きしなければならなかったものが、財産目録は、パソコンで作成したり、不動産登記事項証明書や通帳の写しを添付したりすることもできるようになりました。
②自筆証書遺言書の保管方法の緩和(2020年7月10日施行)
法務局での遺言書の保管が可能になります。これにより、紛失や相続人による廃棄、隠匿、改ざん等のおそれがなくなり、家庭裁判所での検認も不要になるため、死亡後の相続手続きもよりスムーズに行うことができるようになります。
2.遺言のすすめ
特に遺言書が必要な場合
夫婦間に子どもがいない・・・
子がいない場合に夫婦の片方が死亡すると、残された者の相続分は4分の3、残りの4分の1は、死亡した者の兄弟姉妹にいくことになります。夫婦2人で働いて建てた家が夫名義の場合、夫の兄弟が持分を請求する、などということも・・・
相続人同士が不仲または疎遠
例えば、先妻の子と後妻の子では、付き合いもない場合が多く、お互い感情的になりやすく、遺言できちんと財産分けをしておかないと、遺産分割で争いが起こりがちです。 また、兄弟同士、親子間で仲が悪い場合も遺産争いとなるおそれがあります。
特定の人に残したい
家業を継いでいる長男に会社の権利や株などを多く残したい・・・
相続人以外の人に財産を分けてやりたいとき
婚姻届を出していない内縁の妻(夫)がいる場合、妻(夫)には相続権がありませんので、遺言をしないと何ももらえないことになります。 長男が死亡し、その妻が両親を世話している場合も、嫁は相続人ではないので、死亡後嫁に財産を残したい場合は、遺言が必要になります。
相続人がいない場合
この場合、遺産は特別な事情がない限り、国庫に帰属します。そこで、親しい人や世話になった人、施設・病院・寺・教会等に寄付したいという場合は、その旨を遺言しておく必要があります。
上記のような場合でなくても、遺言をされることをおすすめします。
うちの子ども達は仲がいいからなどと思われるかもしれません。しかし、相続は金銭や権利関係が絡むものであり、それぞれ家庭を持ち色々な事情もありで、兄弟関係も変わることがあります。
相続問題がこじれてしまうと、仲の良かった家族間でさえ協議が難航するという事態に陥ってしまう事もあります。
死後のごたごたをなくす為にも、遺言は大切です。
また,公正証書遺言書は,原本は公証役場で保管されますが,正本・謄本でも効力、がありますので,亡くなった後の手続きが何かとスムーズです。
公正証書遺言
前述のように、現在秘密証書遺言はほとんど利用されておらず、遺言のほとんどが公正証書遺言と自筆証書遺言です。
しかし、自筆証書遺言は、亡くなった後でのトラブルになることも多く、あまりお薦めできません。公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が作成するので、安心・安全な遺言方式であり、原本を公証役場で半永久てきに保管するので、紛失、変造、破棄等の恐れもありません。自分の財産は自分で決める、確実に自分の意思を反映させたい、というのであれば、公正証書遺言をお薦めします。
今回の民法改正により、自筆証書遺言もより手軽にできるものにはなりましたが、費用はかかっても公正証書遺言が確実と言えます。法務局に預けることによって紛失、相続人による破棄や改ざん等のおそれはなくなりますが、法務局では内容が真正で有効な遺言になるかまでの審査はしてくれません。
やはり、法律の専門家である公証人に内容を伝えて作る公正証書遺言が、自分の意思を確実に反映できる方法と言えるでしょう。
公正証書遺言書を作成してみよう!
① まず、自分の財産をリストアップしよう。
不動産
不動産賃借権
預金
現金
有価証券~株式・国債・投資信託・出資金など
ゴルフ会員権
生命保険金
通常、生命保険金は受取人の物であり、相続財産には含まれません。
自動車
貴金属
その他動産
祭祀財産
② 誰にあげるのか、相続人は誰かを確定しよう(→法定相続分)
相続人の確定と誰にどの遺産をあげるのかのリストを作ります。
子どもがおらず、兄弟が相続人になる場合、兄弟が亡くなるとその子(甥・姪)が相続人です。同世代の場合、あげたい兄弟が先に亡くなってしまい、先祖代々の土地を、会ったこともない甥・姪まで相続させることになってしまう、ということもあります。どうしても継いで欲しい、あげたい方がいる場合は、兄弟→亡くなったらその子になど二次的遺言をするのも一つの方法です。
相続でない方への遺贈の場合は、住所・氏名・生年月日等で特定できるようにします。
③ 財産以外の相続内容
1.認知
2.遺言執行者
銀行預金の払い戻し手続き等は、通常は相続人全員の実印が必要ですが、
遺言執行者がいれば、遺言執行者単独ですることができます。
1.その他付言事項
兄弟仲良くして欲しい。葬儀は質素にして欲しい。
尽くしてくれた長男に多く残した、など、遺言としての効力があることでは
ありませんが、ぜひ自分が言い残したいことを付言事項として載せることも
できます。
↓
公正証書遺言には2人の証人の立会が必要となります。証人には特に身分は必要ありませんが、相続人などの利害関係人はなることができません。
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印鑑証明書、戸籍、住民票等の必要書類の収集と、内容の公証役場との打ち合わせが必要になります。
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公証人や証人と日程調整の上、公証役場で遺言書を作成します。足が悪い、高齢、病気などで公証役場に行くのが困難な場合、公証人に出張してもらい遺言作成することもできます。
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自分が亡くなった時に見つけてもらえる場所に保存しましょう。遺言であげる予定の人に渡したり、専門家等が遺言執行者になっている場合は、その方に保存してもらうのも安心です。
遺言執行者
遺言を正確に実現するために、遺言執行者を定めておくこともできます。遺言執行者とは、遺言者に成り代わって遺言者の意思を実現する者をいいます。
(平成30年7月の民法改正前まで、遺言執行者は、“相続人の代理人とみなす”と定められていましたが、改正により、遺言執行者は“遺言の内容を実現するための権利義務を有する”と改められました。)
遺言を書いても、相続人間でその遺言を巡ってトラブルになりそう、遺言書どおりの配分をしてくれるか心配、相続人以外の方に遺贈したい等というときは遺言執行者を定めておくと安心です。
※遺言執行者は、任務を開始したときには、遺言の内容を相続人に通知しなければなりません。
※当事務所には、日本遺言執行士協会認定の”遺言執行士”が所属しております。
”遺言執行士”とは…
相続争いを避けるため、資産だけではなく思いも伝えるため、社会貢献のため・・・。いろいろな思いを繋ぐために遺言書はとても効果的です。
遺言書を書いた人の意思を実現するため、相続人の代理人として、相続に関する手続きを実際に行う人を遺言執行者といいます。
しかし、実際に遺言執行者の業務を遺言書に記載されている通りに正確・迅速に執行するには、それなりの知識や技能を必要とします。 この、昔からある遺言執行者の業務を仕事として、継続して専門に行う人を養成するために、民間資格『遺言執行士』ができました。
参照元:「一般社団法人 日本遺言執行士協会」
【遺言執行士協会提供】遺言書作成アプリ
遺言アプリは、少子化の影響もあって子供のいない夫婦や単身者の相続では、相続関係が複雑で手続きが難航する問題を解決するために開発され無料で一般に提供されています。